卒業シーズンに新入学・新社会人シーズンと別れや出会いが起きやすい春のシーズン。
皆さんはどんな出会いや別れを経験していますか?
きっと素敵な出会いや寂しい別れをこれまで何度もしてきたことでしょう。
そんな春の出会と別れを象徴するかのようなAimerさんの楽曲が、今回ご紹介する『花びらたちのマーチ』です。
今回は、そんな出会や別れを象徴とする春にふさわしいAimerさんの名曲『花びらたちのマーチ』を、筆者独自の見解ではありますが、歌詞の意味や世界観、曲調・音楽性など掘り下げて解説させていただきます。
Aimer『花びらたちのマーチ』のwiki風概要
女性アーティストAimerさんの名曲『花びらたちのマーチ』のwiki風概要はこちらです!
楽曲名:花びらたちのマーチ(はなびらたちのまーち)
アーティスト:Aimer
リリース:2019年1月9日
収録形態:3表題シングル(16th)
収録曲:『I beg you』、『花びらたちのマーチ』、『Sailing』、『Mine -Mellow Yellow ver.-』、『ポラリス (haruka nakamura ursa remix)』
作詞:aimerrhythm(作詞時のAimerさんの別名義)
作曲:飛内将大
編曲:玉井健二・飛内将大
レーベル:SME Records
特にAimerさんの楽曲ではと前提はつくのかもしれませんが、これほどまでにシンプルで万人受けし易い楽曲は筆者自身聴いたことがないといっていいくらい、花びらたちのマーチという曲は本当に爽やかでシンプルな愛らしい楽曲!
その魅力に関してはこれから掘り下げてご紹介させていただきますが、常々、筆者はAimerさんに対して『闇の共有者』と位置づけて彼女の楽曲を聴き続けてきたので、今回の花びらたちのマーチには良い意味での驚きの連鎖を感じている次第です。
さて、話を戻しますが、本作『花びらたちのマーチ』はMVを観ていただければ分かるように、卒業を一つのテーマとして描いています。
3月に訪れる卒業ソングとして、これほどまでに無いぴったりな楽曲として筆者もおすすめの一曲ですね。
Aimerさんはこれまで数々の楽曲をリリースしておりますが、
- 残響散歌
- Deep down
など、攻撃性・闇との共有といった独特の魅力を展開した楽曲が多く見られます。
ところが、今回ご紹介する『花びらたちのマーチ』は、Aimerさん特有の魅力はかなり押さえられながら、爽やかさ全快といった印象が強く、また新たな魅力が開花されたといっても過言無いでしょう。
もちろん、いつものAimerさんのハスキーボイスは健在でビブラートを利かした音の余韻など、楽しめるポイントがたくさんありますので、多くの方たちに春を体感しながらじっくり聞いてもらえたら幸いです。
こちらに『花びらたちのマーチ』のMVのリンクを貼っておきますので、気になる方是非御覧くださいね。
※花びらたちのマーチのMVのリンクはこちらです!
余韻(ビブラート)やリズム・テンポの使い方が絶妙
Aimerさんが直近にリリースしたシングル
- escalate
- Deep down
と言った楽曲にも言えることですが、Aimerさんの声の魅力の一つには、余韻を含ませるビブラート感が半端ないところがあると、筆者は感じています。
いつもAimerさんの魅力として闇との共有と筆者は称していますが、それは、ただ声が低くハスキー故に称しているわけではありません。
随所で見せる音の抑揚であったり余韻たっぷりに震わせるビブラートが心にずしりと響くからこそ、より闇との共有感が強まり、筆者は闇との共有とAimerさんの魅力を称賛しているのです。
さて、そんなAimerさんが歌う『花びらたちのマーチ』ですが、この余韻やビブラートに加え、リズム感やテンポなど、一見シンプルに感じながらも巧みな技が随所で見られ非常に楽しい楽曲に仕上がっています。
そこはただ純粋に『出会いや別れ』を描いているということではない何かを表現されているのかもしれませんね。
詳しいことは、歌詞の意味・世界観、曲調・音楽性の項目で解説していきますのでここでは割愛します。
まずは、巧みな技法として余韻・ビブラート、リズム感・テンポをうまく使っている爽やかな楽曲と頭の片隅に置きながら、花びらたちのマーチを聴いてみてください。
きっと、ただ出会い・別れを描いているのではなく、春ならではの何かをこの楽曲を通じて体感できることと思いますよ。
花びらたちのマーチの歌詞の意味・世界観
さて、いよいよ、Aimerさんの花びらたちのマーチの歌詞の意味や世界観について、筆者独自の見解ではありますが解説していきたいと思います。
花びらたちのマーチの最大のテーマは出会いや別れであり、出会った頃のワクワク感や次第に恋をしていくことへのドキドキ感、そして恋が破れ卒業していく中での別れなど、ピュアな青春時代の1ページを切り取った素敵な楽曲と言えるでしょう。
では、早速、出会いや別れが『花びらたちのマーチ』でどの様に描かれているのか見ていきましょう。
恋い焦がれる乙女心が垣間見える世界観
出典:https://woman.excite.co.jp/
学生時代に失恋するのが怖くて告白できずに卒業を間近に控えたなんて記憶を持つ人も中にはいるかもしれない…
そのような思い出や恋に恋い焦がれる乙女心を描いているように花びらたちのマーチ1番の歌詞で描かれています。
主人公は高校卒業を控えたとある女生徒。
彼女は、高校2年生の頃から、運動部で汗を流すある男子生徒に恋い焦がれ彼の一生懸命部活動に勤しむ姿を教室の窓越しに見つめています。
1番Aメロの歌詞
『あれは二年目の春の日
雨上がりのグラウンドのすみっこ
光の粒とゆれて走る
君の背中を見てた』
では、淡い恋心を抱かせながら、恋い焦がれる男子生徒の姿をじっと見つめる様子が…
そして1番Bメロで
『伝えたかったこと全部ね
教科書のすみ落書きだった
あれは紛れもなく恋だった
ただの思いこみじゃない』
と続いていくわけですが、恋する気持ちを告げることができず主人公が教科書の隅っこに男子生徒を見つめながら恋する思いを落書きしていたのでしょう。
まさに春にふさわしい淡い恋模様が如実に描かれているわけです。
告白できずに失恋で終わったことを綴るサビの歌詞
なかなか恋する気持ちを告げることができず気がつけば卒業を迎えてしまった…
結局のところ間近に控えて慌てたというより恋する気持ちを告げることなく失恋してしまったというのがリアルなところでしょうか。
そんな情景が、1番サビの歌詞(『春が来てあんなに好きだったのに…』から始まる一節)にあらわれています。
特に『泣かない泣かないけどねきっと…』の部分は、告白できず恋が終わった(卒業によって)ことを象徴しているかのように感じてしまうのです。
なぜ、『泣かない』と2度も繰り返すのか?
ふとそのような疑問に駆られた方もいらっしゃるかもしれません。
あくまで筆者の憶測ではありますが、きっと、この主人公は、泣くことよりも明るく笑顔でお別れしたいという気持ちを強調させたかったのではないでしょうか。
もちろん、卒業により別々の人生を歩んでいくことによって別れへの寂しさも募りますし、ましてや恋心を抱いた相手ならなおのこと寂しく悲しい気持ちは増すでしょう。
でも、涙で終わらせるのではなく、明るく『またね』くらいの感情で別れ、次の道に歩んでいくことのほうが、色んな意味でポジティブに捉えられるでしょうし、素敵な恋の思い出として永遠に心の中に残っていくと主人公は考えた…
だから、今は告白できず卒業とともにサヨナラとなってしまい寂しく悲しいけど、『泣かないよ!』と心に近い卒業を迎えようとしている…
そんな強い決意というか心情を描こうとしたからこそ、あえて『泣かない泣かない』と2度繰り返したのかもしれませんね。
いずれにしても、主人公は好きな男の子に告白できずに失恋で終わったことを、花びらたちのマーチ1番のサビの歌詞で匂わせていることに違いないでしょう。
2番以降の歌詞で見られる次の出会いへの決意
花びらたちのマーチの1番の歌詞では、好きな男の子に告白できず卒業を迎えた女生徒の淡い恋心と失恋による感情の変化などが描かれていると解説しました。
そして、2番に入り、主人公は卒業前の淡い恋心を一つの思い出として胸にしまいながらも、新たな出会いへ向けて前に進み始めます。
特にその様相を象徴とする歌詞が、2番Aメロの歌詞
『覚えたてのギターはまだFのコードが苦手なままで
君の好きな古い洋楽を弾けるまで続けるよ』
と、2番サビ後半の歌詞
『まだ見ぬ真新しい場所でまた見つけなくちゃ
また見つけなくちゃ』
が物語っています。
まず前者の歌詞について、君の好きなと綴られるこの『君』が表すのは、間違いなく主人公が告白できず失恋に至った男子生徒を指しています。
淡い思い出を胸にしまい大切にしながらも、主人公は苦手なFのコードに悪戦苦闘しつつ彼が好きな古い洋楽を弾いているわけです。
また、後者の歌詞では、まだ見ぬ真新しい場所でまた見つけようとしている様子を描いています。
しかも『また見つけなくっちゃ』と2度も繰り返して表現されていますよね。
この部分はきっと新たな出会いや恋を見つけようとしている主人公のポジティブな感情ではないでしょうか。
出会いがあれば別れがあり、別れに対して寂しさや辛さはあるかもしれませんが、淡い青春時代の思い出を大切にまた新たな人生を歩み一歩成長しようとする主人公の姿を、
- 1番:『卒業・別れ』
- 2番:『春・新たな人生』
といった情景として切り取り描いているようにも感じます。
純粋に恋に焦がれながらも告白できず失恋した主人公の心情を描いただけでなく、それらを通じて卒業や新生活といった情景を描いた…
だからこそ、この花びらたちのマーチは春を象徴とする楽曲として多くのファンに愛されているのかもしれませんね。
ちなみにラストの歌詞では、
『十年後にまた会える
ありふれた言葉歌にした
明日朝一街を出る
君にどうか幸あれ』
と締めくくられています。
何度も言いますが出会いがあれば必ず別れは訪れ、その逆もまた然りです。
そして、それは同一人物を対象にも言えることで、卒業によって散り散りに分かれてしまうかもしれませんが、十年後に同窓会で再開するなんてドラマチックな展開が訪れることもあるでしょう。
一つの時代が終わりを告げ、春を迎え新たな時代へ進んでいこうとする卒業生や新入生・新社会人たちに幸あれと最後にエールを贈り、この『花びらたちのマーチ』は締めくくられているわけです。
実に素敵で爽やかな楽曲だと思いませんか?
花びらたちのマーチは、歌詞の意味・世界観を辿っても、実に爽やかで出会いと別れの味わい深さを堪能させてくれる一曲に仕上がっているとうかがえます。
Aimerさんの爽やかな春のプレゼントとも言える春のプレゼント曲『花びらたちのマーチ』をじっくり味わい聴きながら、淡い青春時代を思い出してみてください。
また違った深みを体感することになると思いますよ。
花びらたちのマーチの曲調・音楽性
先程の楽曲紹介のところでも、Aimerさんの楽曲にしてはかなり特殊で明るくシンプルな楽曲とご紹介しましたが、それは、曲調・音楽性を解析するとよりリアルに体感できるかと思います。
そもそも、この花びらたちのマーチは、他の収録曲と比較しても圧倒的に短い楽曲です。
ちなみに花びらたちのマーチを含めたシングル収録曲の一曲ごとの長さがこちらです!
I beg you (4:30)
花びらたちのマーチ (3:14)
Sailing (5:37)
Mine -Mellow Yellow ver.-(5:31)
ポラリス (haruka nakamura ursa remix)(6:14)
この内、『Mine -Mellow Yellow ver.-』とポラリスは表題曲ではないので、多少長くともまだ理解できるとしても、他の表題曲(I beg you、Sailing)と比較しても『3:14』は圧倒的に短く感じますし、それゆえにシンプルと感じるのは当然でしょう。
では、花びらたちのマーチの曲の基本構成から、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
まず曲の基本構成は、
イントロ→Aメロ→Aメロ‘(ほぼAメロ)→サビ→2番Aメロ’→サビ→間奏→サビ‘→エンド(Aメロベース)
といったかなりシンプルな構成でまとめられています。
本来ならば、Bメロがあったり、2番もAメロ‘だけでなくもう少し長くメロディがあっても良さげですよね。
しかし、花びらたちのマーチでは、春の装いをシンプルに歌うことを念頭においているのか、あまりごちゃごちゃした要素は省いてシンプルに描かれ実に魅力的ですね。
ちなみに花びらたちのマーチのMVには歌詞以外にもコード進行までテロップで表記されています。
きっと、楽曲構成がシンプルだからこそ、多くのアーティストにカヴァーしてもらいたいという親しみの意味も込めて、あえてコード進行もMVのテロップに表記されたのだと思いますよ。
ただ、ここで一つだけここで言っておきたいことがあります。
花びらたちのマーチはAimerさんのどの楽曲よりもシンプルな構成であることに違いありませんが、だからこそのこだわりもいくつかうかがえます。
たとえば、例えば、Aメロパートのベースが8分音符を羅列したようなリズムを打ってきたかと思いきや、サビのパートの2行目の歌詞の部分(1番なら『壁も窓も空も…』)のところの跳ねるようなリズムの打ち変化を見せてくるなど、音へのこだわりは実に高い!
おそらく春だから誰もが高揚する気持ちや逆に失恋・卒業による寂しい気持ちを、シンプルが故にリズム・曲調で巧みに表現されているのだと思いますよ。
こういった細かい演出も花びらたちのマーチにはたくさん散りばめられているので、ぜひ、みなさんも一つずつ見つけながら本楽曲の奥深さを堪能してみてくださいね。
春の出会い別れ以外にもおすすめの聴き方
出典:https://www.sponichi.co.jp/
最後に、今回の花びらたちのマーチを別角度からどういう人が聴くと効果的か、筆者独自の見解でご紹介しておきたいと思います。
冒頭からお話している通り、卒業生・新入生・新社会人が聴くとよりリアルに楽曲の世界観が体感できて効果的なのは間違いありませんが、春という要素を除いたとしても、気持ちの浮き沈みに併せて聴いても気持ちを楽にしてくれる効果がもたらせると思われます。
たとえば、精神的にショックなことが起きてしまい辛い時に、勇気をもって一歩前に進む原動力として花びらたちのマーチを聴くと、気持ちがほんのすこし明るくなるでしょう。
また、春の時期の気温の変化に気圧されて体調を崩してしまった際にも、難しく考えずに花びらたちのマーチを聴いていると、なんだか変に入っていた力がすっと抜け体が楽になったりします。
まぁ、治療効果があるかどうかは科学的に証明された話でもありませんし、そもそも効果に個人差があるのは当然です
とはいえ、それでも筆者自身が体調不良で苦しい時に花びらたちのマーチを聴いてずいぶん体が楽になりました。
あくまで個人的な感想といえばそれまでですが、きっと花びらたちのマーチのシンプルさが気持ちや体を楽にさせてくれるのだと思います。
純粋に一つの提案として、卒業などの春のシーズン以外にも、辛い時などに聴いてみることをおすすめします。
ぜひ、みなさんにとってポジティブになれる一曲として、Aimerさんの花びらたちのマーチが寄り添う存在となったら幸いです。
そして、この花びらたちのマーチが、より多くのファンから愛される一曲としていつまでも語り継がれていくことを願っています。
花びらたちのマーチのまとめ
今回は、Aimerさんの春の楽曲『花びらたちのマーチ』を、今の卒業・新入学シーズンに併せて、筆者なりの見解のもと、楽曲の魅力や歌詞の意味・世界観、曲調・音楽性を解説させていただきました。
改めて、この花びらたちのマーチを解説してみて、シンプルな楽曲で心にストンと入り込みやすい爽やかで春にふさわしい楽曲であることが、筆者自身理解を深めたような気がします。
卒業による別れや新生活で得る出会いなど、当時でなければ得られない淡い思い出を蘇らせてくれるような素敵な楽曲なので、ぜひ、肩の力を抜いてゆったりしながら花びらたちのマーチを堪能してみてくださいね。